シルクスクリーンプリント
トラブルシューティング
プリント・加工に関するあれこれ -vol.03-
SPRING & SUMMER 2021
プリントTシャツの仕上がりにこだわりたい方必見!
2021.03.02 公開

01
ポリエステル素材は要注意!
昇華(ブリード)現象
ポリエステル素材の製品は使用している染料の特徴として、プリントや熱加工時の状況、保管環境・条件などにより、「昇華(ブリード)現象」を起こすことがあります。
これは、ポリエステルを染めていた染料の分子がプリントインクと反応をしてしまうことで、インクの色が変わってしまうことを指します。
仕上がりが本来希望していたものと違ってくることがありますので、ポリエステル素材にプリントをする場合は注意が必要です。
プリント実験結果
油性インク+ベーキング
(熱乾燥)
<素材:ポリエステル100%
プリントインク:すべてホワイト>

本来のプリントインクの色
(拡大)

ベースのボディカラーが淡い色のため、
ブリードが目立ちにくい

ボディの色が浮き上がって
プリントインク(ホワイト)に影響している
昇華(ブリード)現象を
緩和する方法
1水性インク+自然乾燥
熱乾燥を避けることで、ブリードしにくくなります。
水性プリントインクを使用することで、自然乾燥を取り入れることが可能になります。
2ボディカラーとプリントカラーの組み合わせを考える
ポリエステル素材へのブリードはつきものです。
特に、濃色のボディは染料を多く使用するため、淡色のボディに比べるとブリードが発生しやすい傾向にあります。
そのため、プリントをする際にブリードが目立ちにくいボディカラー+プリントカラーの組み合わせを考えることで、ブリードが目立ちにくくなります。
3「ローブリード」の商品やインクを選ぶ
ブリードの起こりにくい「ローブリード」の商品やインクを選択するのも一つ。
United Athleでは、5088シリーズや2020シリーズなど、「ローブリード」を特長とする商品が数多くあります。
それらを選ぶことでブリードを格段に抑えることが可能です。
02
いろいろなアイテムで作成したい方
プリント版のサイズや
組み合わせに関するトラブル
シルクスクリーンプリントに欠かせない“版”。色につき1版必要ということは 「シルクスクリーンプリント特集」でご紹介しました。
そこで注意していただきたいこととして「違うアイテムにプリントする場合、同じ版が使えない場合がある」ということです。
EX-1ベースのボディによる場合
同じ柄でも、ベースのボディによって同版可能な場合・不可能な場合があります。

EX-2プリント位置による場合
プリント工場様の設備によっては版の位置がビスで固定されており、バッグとウェア(Tシャツなど)の場合、
プリント位置が逆になるため、同版不可な場合があります。

改善策
1同じ版を使用したい場合は事前に加工工場様へ相談
どういったアイテムで展開していきたいかなどのプランがある場合は、プリント加工を依頼する工場様へ事前に相談しておくと◎。
請け負われる工場様によって同版可能/不可能が異なります。
2アイテムごとの「加工可能範囲」の目安を知っておく
キャブ株式会社では、アイテムごとの「加工可能範囲」を公開しております。
事前に加工可能範囲を確認したうえで、加工工場様へ相談すると進行がスムーズになります。
「加工可能範囲」についてはこちら(United Athle 公式ブランドサイト)。
※加工工場様によって、実際の加工可能範囲は異なりますのであくまで目安としてご覧ください。
03
仕上がりにさらにこだわりたい方
プリントサイズや
位置に関するトラブル
プリント柄のイメージデータを原寸大で作成、イメージ図の確認もしたにも関わらず、 実際の仕上がりがイメージしていたものと違ったということはありませんか?
例えば…
- ・想像していたプリントサイズより大きい(小さい)
- ・背中のロゴがパーカで隠れてしまった
- ・想像していたプリント位置より上(下)だった
- ・ワンポイントのプリントが思っていたよりも外側だった
といったトラブルです。
原因
イメージ図=平面 / 着用=体が湾曲しているため、
プリント柄の見え方が変わってしまう!

平置き

トルソー
改善策
1実物大のプリント柄を出力(プリントアウト)して、製作予定のアイテムに実際に当ててみる
2イメージ図のサイズやプリント位置を着用した状態で計測してみる
プリントサイズやプリント位置が分からない場合は、プリント加工を依頼する工場様へ問い合わせをすると安心です。
04
プリント柄にこだわりたい方
プリント柄の
再現性に関するトラブル
シルクスクリーンプリントは、使用している版やインクなどの条件によって、
再現できる柄の細かさに大きく影響を及ぼすことがあります。
また、“塗り” なのか “抜き” なのかによって再現性に差がある場合も。
これらは、プリントを請け負っている工場様様によって異なりますので、相談をしながら決めていくことが重要です。
プリント実験結果:
再現性の実験
(品番:5001-01)

1.0mm以下のデザインを含む場合は、注意が必要です。
また、ボディの素材や編み地によっても再現性に影響を及ぼすことがあります。
キャンバスや鹿の子など、生地の表面が凸凹しているものは要注意です。
改善策
1デザインを作成する前に加工工場様に再現の規定値を確認
請け負われる工場様ごとで再現できる規定値が異なりますので、「デザインを作成する前に」 確認しておくと。注意点やアドバイスをもらえ、失敗を防ぎやすくなります。
2油性インクやハイメッシュの版を検討する
油性インクは水性インクと比較して細かな柄の再現度が高いといわれています(自然にインクが固まらない性質のため)。
また、通常より版の網目が細かい「ハイメッシュ版」を使用してもらうこともひとつです。
ただし、デザインによってハイメッシュ版が使用できないケースやアップチャージがかかる場合、
油性インクの取り扱いがない場合もありますので、やはり加工工場様への事前相談の徹底は欠かせません。