
転写プリント特集 プリント・加工に関するあれこれ Vol.04
2021.07.06 公開
ウェアプリントの王道であるシルクスクリーンプリントや転写プリント、
フルカラーが得意なインクジェット、高級感のある刺しゅうなど、 United Athleは
これら二次加工に適した無地アイテムブランドです。
今回はプリント方法の中でも、メジャーな方法の一つ
「転写プリント」について、ご紹介します。
転写プリントとは
転写プリントは、専用シートにデザインを印刷し、熱で圧着することによってウェアにプリントをします。
複数ある加工方法のうちの一つで「無製版転写」「デジタル転写」「昇華転写」などの種類があり、フルカラープリントに最適です。
細かな柄の再現も得意なため、写真のようなデザインにも使用されます。
シルクスクリーンプリント
転写プリント
インクジェットプリント
刺しゅう



転写プリントの種類

無製版転写
糊つきシートにデザインを印刷し、Tシャツに熱圧着させる転写の種類です。“無製版”つまり版を作らないため、少ロットの注文におすすめです。今回詳しくご紹介する方法です。

デジタル転写
糊つきの転写シートを作るために製版する(版を作る)必要がある転写の種類です。無製版転写と比べてカスタマイズ性が高く、フチの種類などを選ぶことができます。同じデザインで大量製作する場合におすすめです。

昇華転写
昇華インクをシートに印刷し、Tシャツに熱圧着させることでインクを気化させ、生地に直接染み込ませる転写の種類です。柔らかな風合いですが、ポリエステル100%の白い生地にしかプリントできないことが多いです。版を作らないので、少ロットの注文におすすめです。

カッティング
最初から色のついたシートをデザインに沿ってカットして熱圧着させます。色は単色のみです。版を作らないので、1枚ごとに異なる背番号や個人ネームなどの注文はコストを抑えることができます。
特徴比較
無製版転写 | デジタル転写 | 昇華転写 | カッティング | 特記 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
製版の有無 | なし |
あり |
なし |
なし |
||
コスト | 少ロット | ◎ |
△ |
○ |
◎ |
|
大ロット | △ |
◎ |
○ |
△ |
||
発色の良さ・ 細かいデザインや グラデーションの再現性 |
◎ |
◎ |
◎ |
△ (※1) |
(※1) ・単色のみ ・細かいデザイン不可 |
|
仕上がりの柔らかさ・ 通気性の良さ |
△ |
△ |
◎ |
△ |
||
対応生地 | 綿・ポリエステル・ |
綿・ポリエステル・ |
ポリエステル100%で |
綿・ポリエステル・ |
・工場様に要確認 ・撥水加工商品は注意 |
転写プリントTシャツができるまで(無製版の場合)
版を作ることを「製版」と言います。
当社では転写プリントについて、版を作る加工を「デジタル転写」、版を作らない加工を「無製版転写」としており、
今回は、版を作らない「無製販転写」の作業工程を詳しく解説します。

01 デザイン確認
入稿された画像やデータ(ai・psd)をパソコンで確認し、デザインに「フチ」を入れていきます。

02 デザインを転写シートに印刷
特殊な専用プリンタを使って、転写シートにデザインを印刷していきます。シートの裏側にはあらかじめ糊がついています。

03 転写シートをカット
インクが乾いたらデザインに沿ってカットしていきます。

04 不要な部分を取り除く
デザイン以外の不要な部分を取り除きます。

05 リタックシートを貼る
リタックシートと呼ばれる透明のフィルムを転写シートの上から貼ります。リタックシートを剥がすと、転写シートからリタックシートにデザインが移動します。

06 Tシャツをセッティング
専用のプレス機にTシャツをセットします。このときプリント位置の微調整をおこないます。

07 プレス1回目
1回目のプレスをおこないTシャツにプリントします。終わったらリタックシートを剥がします。

08 プレス2回目
2回目のプレスをおこないプリントを定着させます。

09 完成
無製版転写プリントTシャツが完成しました!
「フチ」について

転写プリント加工は、デザインの周囲や余白部分に「フチ」が数ミリ程度つくことがあります。
「フチ」の色は、生地に近い色を採用しているケースが多くあります。たとえば、白いTシャツには白色の「フチ」という具合です。
ただし、「フチ」がつく・つかないや、対応できる色・幅については加工工場様へ確認することが重要です。
よくあるご質問
- 転写プリントに向いているデザインはありますか?
- 色数が多く、細かなデザインに向いています。
パソコンから出力されたデザインデータを専用プリンタで印刷するので、たとえばグラデーションや写真のような複雑なデザインでも再現性が高くおすすめです。 - 転写プリントができない素材はありますか?
- 撥水性のある素材は注意が必要です。事前に加工工場様へ確認することをおすすめします。
ポリエステル素材も、熱圧着によるブリード現象(昇華移染)がとても起きやすいことを理解しておく必要があります。 - 見積もりをとる際、あらかじめ伝えおくと良いことはありますか?
- 品番やカラー・サイズなどの基本情報と一緒に、素材や形状、デザインの「大きさ・数・場所」をあらかじめ伝えることで正確に見積もることができます。
転写シートの種類は複数あり、加工工場様によって取り扱いのある転写シートが異なりますので、あらかじめ確認しておくとスムーズです。
トラブルシューティング

01 RGB入稿による仕上がりイメージ違い
■詳細
「RGB」形式であるパソコンでデザインを制作し、「CMYK」形式であるプリンタで転写シートに印刷した。プリントされた柄がくすんだ色になった。
■前提
色の表現は、
・パソコンのモニター:「RGB」形式
・プリンターのインク:「CMYK」形式
が使われ、それぞれ表現できる色の幅が異なる。
■原因
色の形式が「RGB」と「CMYK」で一致していないため。
■解決策
デザインを作りはじめるときに編集ソフト(Adobe IllustratorやPhotoshopなど)のカラーモードを「CMYKカラー」にしてから着手する。

02 プレス痕
■詳細
転写プリント加工をおこなったら、プレスの痕がついた。
■原因
高温でプレスすることで生地の繊維が寝てしまったり、若干変色してしまったりすることで、圧着していない部分と差が出るため
■解決策(緩和策)
綿素材であれば洗濯によって目立たなくなるが、ポリエステル素材は繊維の性質上プレス痕を完全にゼロにすることは難しい。プレス痕を軽減するシートなどがあるので、加工工場様がそういった対策をおこなっているかどうかを事前に確認するのがおすすめ。

03 ブリード現象(昇華移染)
■詳細
ポリエステル素材の製品にプリントしたところ、もともと白色だったプリントインクが赤くにじんだようになった。
■原因
ポリエステル素材の生地の染料が熱に反応して浮き上がり、赤色の染料が白色のプリント部分に入り込んでしまったため。
■解決策(緩和策)
①「ローブリード」商品やブリード防止転写シートを選ぶ
<ローブリード商品例>
5088シリーズ、2020シリーズなど
②淡いカラーの生地を選ぶ
ポリエステル素材へのブリード現象を完全に防ぐことは難しいものの、上記の対策によってブリードを目立たなくしたり、抑えたりすることは可能。